アメリカと日本、子育てのリアルな違いとは? Part.2

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はじめに

前回は「父親の育児参加」や「幼児教育の違い」、「デートナイト文化」について紹介しました。今回は「子どもとの向き合い方」や「しつけの違い」、そして「医療や健康管理に対する考え方」についてご紹介したいと思います。

子どもとの向き合い方:対等な関係を築く

アメリカでは、子どもであっても一人の「個人」として尊重されることが多く、たとえば洋服や食べ物など、日常のさまざまな選択を子ども自身に任せる姿勢が一般的です。

私もアメリカ人ファミリーと2年間過ごした経験があるためか、今、3歳の子どもを育てる中でも、できるだけ選択してもらうようにしています。それを見て夫は、「どっちでもいいでしょ」とよくぼやいています(笑)。実際、選択肢がない場面でも「これは嫌!選ばせて!」と言ってくるので困ることもありますが、「選ぶ」という行動は小さな意思決定の積み重ね。これが将来的な判断力や自立心につながると良いなと思います。

もう一つ、アメリカで驚いた出来事があります。ある日、家族の集まりで乾杯のシーンがあったのですが、ホストパパが当時5歳だったホストキッズに「トースト(乾杯の発声)をお願い!」と振ったのです。正直、大人の私でもうまくできる自信がなかったので驚きました(笑)。子どもが何を言ったかは覚えていませんが、とても嬉しそうにしていた姿が今でも印象に残っています。

日本では、家庭で乾杯の発声をすること自体が珍しいと思いますが、アメリカでは小さいうちから人前で話す・意見を述べるという自己表現の場が自然と用意されているのだなと感じました。

また、子どもに何かを説明するときのスタンスも印象的でした。日本では、幼児にはやさしい言葉を選んだり、難しい内容はある程度省略して話すことが多いですよね。でもホストパパは、たとえ相手が幼い子どもでも、とても丁寧に、時に難しい単語を使いながら説明していました。私が聞いていても難しいなと感じることもあり、「そんなに詳しく言っても子どもには伝わらないんじゃ…?」と思ったこともありました。でも今振り返ると、これこそが「子どもを対等な存在として接する」という姿勢だったのだと感じます。 子どもの理解力は、大人が思っている以上に高いこともあります。

印象に残っているのは、ホストキッズがプラレールの電車で遊んでいた時のこと。電車が線路から外れたので、私が思わず「脱線したね」と言ったあと、“脱線”はちょっと難しかったかな?と気になって、「電車が線路から落ちちゃったね」と言い直したことがありました。でも数日後、また電車がレールから外れたとき、その子が「脱線!脱線!」と元気に言っていたのです。その時、「あのときの言葉、ちゃんと覚えていたんだ!」と驚くと同時に、大人が「難しい」と決めつけた言葉が、必ずしも子どもにとって難しいとは限らないことに気づかされました。

その経験から、私はわが子にも、難しいかどうかは気にせず、そのとき思った言葉をそのまま使うようにしています。もちろん、意味がわからなくてスルーしていることもあるでしょうし、聞き返してくることもあります。でも、そうして日々いろんな言葉や表現に出会って、自然に覚えていってくれたらいいなと思っています。

しつけと体罰の考え方の違い

私が子どもの頃(約30年前)は、しつけの一環として親や祖父母に手を上げられることも珍しくなく、多くの家庭や教育現場で体罰がある程度は容認されていました。保育実習で訪れた施設でも、1〜2歳の乳幼児に対してお尻をポンと軽く叩く光景が見られたことを覚えています。

しかし、日本でも令和元年(2019年)に児童福祉法などの改正法が成立し、体罰が明確に禁止されるようになりました(施行は2020年4月1日)。

一方でアメリカでは、日本よりも早くから体罰を禁止する州が多く、身体的な暴力だけでなく、大声で怒鳴ることも「心理的な体罰」として問題視されることがあります。

そんな中、オペアとしてアメリカの家庭で暮らす中で、「体罰のない子育て」を実際に目の当たりにしました。渡米前に“Time out”というしつけ法について知識はありましたが、実際に家庭や教育現場でどう取り入れられているのかを見ることができたのは、とても貴重な経験でした。


  • “Time out”とは?

“Time out(タイムアウト)”とは、子どもが問題行動をした際に、その場から一時的に離れさせ、気持ちを落ち着かせるためのアメリカのしつけ方法です。 怒鳴ったり罰を与えたりするのではなく、冷静に行動を見直す時間を与えるのが目的で、終了後は必ず声かけやフォローを行います。

たとえば、子どもが叩いたり物を投げたりするなどの問題行動をし、注意してもやめない場合、まずは「次にやったらタイムアウトだよ」と事前に警告します。それでも改善されなければ、「一人で落ち着いて考える時間」としてタイムアウトを実施します。

タイムアウトでは、子どもが安心して座れる椅子や静かなスペースなど、親の目が届く範囲に座らせ、一定時間反省の時間を設けます。 この時間は、一般的に「年齢×1分」(例:3歳なら3分)が目安とされています。終了後には、「何がいけなかったと思う?」などの声かけを行い、子ども自身に行動を振り返らせることが大切です。


  • “Time in”という新しいアプローチ

近年では、“Time out”の代わりに“Time in���タイムイン)“と呼ばれるしつけ法も多く取り入れられています。 Time inは、子どもが感情的になったときに親がそばに寄り添いながら気持ちを受け止め、落ち着くのをサポートする方法です。一人にするのではなく、親子のつながりを保ちながら感情の整理を手伝うのが目的です。


  • 体罰のないしつけを経験して

どちらの方法にせよ、体罰を使わないしつけは、親や教育者にとっては少し時間と忍耐が必要になります。それでも、子どもを一人の人間として尊重し、意思を大切にするという点で、とても意味のあるしつけ方法だと私は感じました。

私は2年間、アメリカの家庭でしつけの現場を間近に見て、子育てや教育に体罰は不要であるという確信を持ちました。現在、私自身も子育てをしていますが、タイムアウトまではしていないものの、体罰の必要性はまったく感じていません。

もちろん、子どもは脳の発達が未熟ですし、理不尽なことで癇癪を起こしたり、単なるわがままで親を困らせることもあれば、危険な行動もします。私も毎日、3歳児の対応に手を焼いています。でも、そうした子どもの感情や行動を体罰で抑えつける必要はないと思っています。

「してはいけないこと」ははっきり伝える必要がありますが、一度で理解できないのは当たり前。根気よく伝え続けることで、子どもとの信頼関係を築いていくことが大切です。 体罰によらないしつけは、長い目で見て子どもの心を育てる、とても大切なアプローチだと思います。

医療・健康管理に対する考え方

日本では、子どもが少し風邪をひいただけでも、小児科を受診して薬を処方してもらうことが一般的ですよね。各自治体が発行する「子ども医療証」などの制度もあり、診察や薬の費用がほとんどかからない場合も多く、市販薬を買うよりも安価に済むこともあります。気軽に小児科へ行ける環境は、子育て中の親にとっては非常に心強いものです。

一方でアメリカでは、大人も子どもも軽い風邪や発熱程度では病院に行かず、市販の咳止めや解熱剤で様子を見るのが一般的です。私がオペアをしていた時も、ホストキッズが病院に行ったのは、予防接種や歯科検診、そして指の骨折をした時くらいでした。

また、アメリカでは「かかりつけ医(Primary Care Physician)」の制度があり、たとえ専門的な治療が必要でも、まずはその医師の診察を受け、必要があれば紹介状をもらって次のステップに進む形になります。基本は予約制で、緊急時を除いては、すぐに受診できることはあまりありません。

さらに、アメリカでは医療費が高額になることもあり、保険の有無や内容によって医療を受けるハードルが大きく変わります。保険に入っていても、自己負担額や免責額がかかるため、「この程度なら様子を見よう」と考える家庭も少なくありません。

私のホストファミリーは、子どもが風邪をひいて咳をしているとき、バスルームのドアを閉めて温かいシャワーを出し、浴室全体をスチーム状態にして、その中で喉の加湿をしていました。アメリカではこうした方法が家庭療法としてよく行われているようです。 今振り返ると、日本では加湿器を使うことはあっても、バスルームで加湿するという発想はあまり一般的ではないですよね。お風呂場の構造の違いもありますが、「なる���ど、こういうケアの仕方もあるんだ」と当時は驚きました。

医療に対する考え方は国や文化によって大きく異なりますが、どちらにもその国ならではの背景と理由があります。私自身、オペアとしてその違いを経験したことで、「病院に頼りすぎない家庭でのケア」や「親としての判断力」の大切さを実感しました。

まとめ

私にとって、アメリカで暮らしながら子どもと向き合ったオペア生活は、その後の育児観にも大きな影響を与えてくれました。 オペア留学に限らず、ワーホリや語学留学など、海外での生活を少しでも迷っているなら、ぜひ一歩踏み出してみてください。そこから得られるのは、新しい環境や英語力だけではなく、人生を豊かにする学びや気づきがたくさんあるはずです。

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